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中高年になって空手を続ける意義

こやまクリニック院長
POINT&K.O.大会医師
小山郁 二段

 

中高年を取り巻く医療事情

医療保険制度の整備により、国民の誰もが最高3割の負担で、医療を受けられるようになりました。他の先進諸国と比較しても、少ない支出で医療を受けられるため、逆に人々の間から健康に対する意識を低くしてきたとも考えられます。
日本全体での医療費の総額は、年に約30兆円に達しています。これから先、年々高額化する医療費がまかなえるかどうか、非常に疑わしくなっています。こうした医療経済が逼迫する中で、中高年に対する歩行などの運動が、病気の予防にどれだけのメリットを及ぼし、どれだけの医療費が削減できるのかといった研究が数多くなされ、さまざまな自治体で、高齢者に運動を勧める動きが見られます。
一方では、「自分の健康を人任せにしない」という意識を持つ人たちも、徐々にではありますが増えていることも事実です。お金を払ってでも、健康を維持しようとする人たちにとって、市井のトレーニングジム、あるいは町道場が果たす役割は大きいと考えています。

 

中高年の健康に対する運動の効果

運動すると、まず筋肉が強化されます。ただ力の強さが強化されるだけではなく、筋持久力も強化され、強くて疲れにくい筋肉をつくることができます。空手の場合は、左右の突き、左右の蹴りを均等に稽古しますから、ゴルフやテニスと違って、バランスよく筋肉を鍛え上げることができます。
次に骨が強化されます。もっと高齢になったときに、骨粗しょう症による骨折を起こさないためには、若い頃からの蓄積が大切です。
心肺機能、つまり全身の持久力がついてきます。多くの血液を送り込み、血管を適度に拡張させることにより、血管の弾力性の低下を防ぐことができます。血管の弾力性が低下する、つまり動脈硬化を予防することによって、血圧も下がります。柔軟性が高まり、転んでも怪我をしにくい身体になります。同時に、身体調整力、いわゆる運動神経というものを向上させることにより、転倒しにくい運動能力が得られます。空手の蹴りは、片足でバランスをとりながら、片方の足を前や横や後ろに挙げることですから、若い内にこれを体得すれば、高齢になってからの転倒を予防することにつながるでしょう。
持久的な運動をすると、脂肪が燃焼され、肥満が解消されます。糖尿病や高雅血症などの成人病に効果があるとされています。運動の身体への効果としては、こういったことが挙げられますが、これらの効果を得ようと思えば、スポーツジムでエアロビクスの教室に通えば十分でしょう。別に道場で空手をすることはありません。

 

 

精神的な効果 道場はスポーツジムではない

われわれの年になり、組織の中である程度の地位に立つようになると、誰にも叱られずに仕事を終えるということは難しいことではありません。自分の限界を自分で決めてしまって、「それ以上はできない」という理由を、自分で作ってしまえばいいからです。
その中で、本気になって叱ってくれる人、時に怠け心に対して竹刀で叩いてくれる人がいるということは、貴重なことだと思っています。
稽古を終えて黙想をするとき、私はその日の稽古内容を思い起こすことにしています。
「ああ、移動稽古で、前蹴りから回し蹴りに移る瞬間に、苦しくて手を抜いてしまったぞ」とか、「竹刀を持った塾長が、自分の前から通り過ぎた瞬間に、気合いの入れ方が変わったぞ」とか、素直な気持ちになって反省すると、小さな自分が見えてきます。「卑劣な気持ちはなかったか」、「前向きだったか」、「手を抜いていなかったか」、自分の心に自問自答して、それを反省するようにしています。
私が仕事をする上での判断基準にも、やはり共通するものがあります。そのほとんどは武道をすることによって学んできたものであり、スポーツジムでは学べないものだと思っています。

 

著作


単行本: 174 p
サイズ: 210 x 148 (cm)

出版社: 山海堂
ISBN: 4381104862

自分でやる体力回復トレーニング
病気とケガを理解してから実践する 中高年の病気とケガを予防する“転ばぬ先の”トレーニング法 ( からだ読本シリーズ)

内容:
病気やケガをせず健康的な生活を送るために体力を保つことは、中高年にとっても重要な課題。体のしくみ、生活習慣病の原因とその予防策を紹介し、自宅で簡単に実践できるトレーニングメニューを厳選して収録する。

目次:
第1章 トレーニングは健康への第一歩
第2章 身体のしくみとトレーニングの基礎知識
第3章 内科的疾患はなぜ起こるのか?
第4章 整形外科的疾患はなぜ起こるのか?
第5章 部位別・時間別トレーニングメニュー
第6章 スポーツ別・症状別メニュー一覧

 



単行本: 175 p
サイズ:210 x 148 (cm)
出版社: 山海堂
ISBN: 4381104366

図解スポーツ・リハビリテーション
ケガの重症度に応じたプログラムを“部位別”に解説 ( からだ読本シリーズ)

内容:
スポーツ・リハビリテーションにおいて一番大切なことは、「時間軸」に沿ったプログラムの実践です。多くのイラストを用いながら、ケガの重症度に応じたリハビリテーションのノウハウを「部位別」にわかりやすく教えます。

目次:
1 基本的なからだのつくりと動き(筋肉、骨、関節、筋収縮)
2 リハビリテーションのための基礎知識(リハビリテーションとは何か、外傷・障害の基礎知識、応急処置の基本「RICE」)
3 部位別にみる損傷とリハビリテーション(頭部、頚部、肩、肘、手関節・手指 ほか)